第6話 ダルマパーラン死す!?
ぼく、ピンダカ。
お坊さんの見習いしてます。
先輩のお坊さんたちは、朝から托鉢(たくはつ)に行ってますが、ぼくはまだ見習いなんで、お掃除したり、仏様のお世話をしたり。
でも、近頃いちばん大切なのは、お師匠さまの看病なんです。 ぼくの師匠は、ダルマパーラン。
みんなも知ってるでしょ?おもしろお坊さん!
でも師匠はおもしろいだけじゃなくて、すごくえらい人なんです。
2ヶ月前から体が悪くなって、お部屋で横になっておられます。
あ、お話してる場合じゃなかった。
お師匠さまにスープを持っていかないと。
「お師匠(ししょう)さま、スープをお持ちしました。」
「おお、ピンダカ ありがとね。けど今日はスープはもういいね。」
「え?のまないのですか?」
「そう、ダルマパーランね、そろそろおわりね。」
「おわり?おわりって??」
「おわりはおしまいのこと。死ぬことね。」
「ええぇぇえっ!本当ですかぁ!?」
「ホント。普通は人間いつ死ぬか?わからないね。でもダルマパーラン、がんばって修行しましたね。だから私、アルハットになりました。
アルハット知ってる?仏様じゃないけど仏様みたいに苦しみほとんどなくなるね。」
「じゃあ、今は苦しくないんですか、お師匠さま?」
「う~ん、まだ生きてるからちょっとだけ苦しいね。
でもそろそろ死んだらもう苦しくないね。」
「そろそろってわかるんですか?」
「わかる、アルハットだから。
『もうすぐ』の100倍くらい。」
「ええ!よくわかりませんよー!」
「おまえの持ってる時計で言ったら9と10の真ん中くらいね。」
「あ、あと47分じゃないですか!」
「まあ、それくらいで死ぬね。」
「大変だあ!師匠(ししょう)が死んだらどうすればいいんですか?」
「そうねー、スープ捨てたらもったいないからピンダカ食べたらいいね!」
「わあ、ありがとうございま~す!って、そうじゃなくてですね...お師匠(ししょう)さま 死んだら、誰(だれ)をたよりにすればいいんですか?」
「自分をたよりにしたらいいね!」
「そりゃそうですけど・・・だれが教えてくれるんですか?」
「今まで私が教えたことたよりにすればいいね! オシャカ様も最後の時 いいましたね。
自分、教え、二つの島たよりに川渡りなさい。」
「でもお師匠(ししょう)さまぼく まだ来たところで、おそうじとお師匠(ししょう)さまのお世話しか習ってませんよ!」
「あちゃー、そうだったな。じゃ、今から教えるね。」
「今からってあとどれくらいあるんですか?」
「7分ぐらいかな。」
「な・・・!7分!?」